この映画は数年間探し続け、ようやく見つけることができた。見つけた後も、観る準備ができるまで何ヶ月も待った。あの感覚、分かるだろうか――今の自分の生活がくだらないことでいっぱいで、もし今観ても、映画の感覚が自分に届かないかもしれない、という感じ。実際、待った甲斐があった。菊地凛子(当時は菊地百合子名義)は私の大好きな俳優で、初期の作品でもその才能には驚かされる。彼女の演技は私の感情を揺さぶり、涙が止まらなくなる。物語はシンプルだ。父の食堂で働く料理人が、恋人にフラれたばかりの旅人を泊めることになる。二人は交流を重ねるうちに、互いの隠れた子どもっぽさが顔を出す。要するに、二人とも「アダルトチルドレン」なのだ。
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