最高の一作とは言えないが、『稀人』は観る価値のあるユニークな映画だ。特に映画作りに携わる人には必見だろう。映像表現やストーリー展開は、これまで見たどの作品とも違っていた。あるカメラマンが「本当の恐怖」を求めて東京の地下に広がる異界へと足を踏み入れる。そこで彼が出会ったのは、青白く、裸で、壁のくぼみに鎖で繋がれた女だった。彼は彼女を家に連れ帰り、介抱する。映画を通して彼女の存在は謎に包まれており、観客が知るのは彼女が生きるために人間の血を必要とするということだけだ(ただし、ヴァンパイアとは少し違い、むしろロボットのような印象もある)。監督は『呪怨』シリーズの清水崇だからか、どこか似たようなスタイルも感じられる。
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