午前2時、寝落ち用に古い映画を観たくなり、これを手に取った。序盤はゆったりとしたペースで進み、すぐに眠れるだろうと思った。しかし、それは全くの見当違いだった。物語は徐々に不気味さを増し、登場人物は奇妙になり、ミステリーにぐんぐんと引き込まれる。岸田今日子が砂の家で見せる演技は、まさに背筋の凍るものだった。砂を中心に営まれる文化を理解することに、すっかり夢中になってしまった。古い映画は時に序盤がやけに退屈なこともあるが、本作は間違いなく素晴らしい心理スリラーである。
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