『リリイ・シュシュのすべて』は、理由は分からないが嫌な感じが心に残った映画で、それ以来、岩井俊二監督作品を避けていた気がする。映画を観る際に監督を意識することはほとんどないのだが、彼の作風は何となく避けてきたようだ。ところが最近では、むしろ彼の映画を楽しめるようになった。『PiCNiC』もその一つで、Charaや(私の大好きな俳優の)浅野忠信が出演しているのも嬉しい。内容は短くシンプルで、精神科病院の患者たちが施設から脱走するものの、実際には敷地の外には出ず、塀の上を歩き回るという話だ。それ以上の深いテーマはあまりないが、美しい映像や、キリスト教の奇妙さをめぐる会話が印象に残る。
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