以前、『極度寒冷』を題材に描いたときに、俳優ジア・ホンシュンの人生には少し触れた。そこから興味を持ち、この映画『昨天』を観た。自身の依存症にまつわる人生を描いた自伝的作品である。映画としては楽しめたが、誰にでもすすめられるものではない。見どころは、彼の異常な精神状態に入り込めるかどうかにかかっている。日々の生活に意味を見いだせず、思考を高める術もないとき、完全に嫌な奴であることすら正当化できてしまう――そんな感覚だ。さらに驚かされるのは、登場人物がすべて実生活の関係者であることだ。家族は実の家族、精神疾患を抱える患者や医師も本人がそのまま出演している。まさに、現実への介入そのものが映画として記録されているのである。
© 2001 - Xi'an Film Studio